後の月光たるJ1N1シリーズの中でおそらく一番レアなモデル
(J1N1シリーズ:十三試双発陸上戦闘機→二式陸上偵察機→月光)
正直確たるソースのない話も混ざってるので、情報があれば教えて欲しいな。
その前にちょっと前置き
帝国海軍の命名規則によると十三試双発陸上戦闘機 (J1N1)は
J:機種は陸上戦闘機
1:陸上戦闘機としては1番目の制式機
N:中島飛行機製
1:一番目の改修型
となり、機種が変わった場合には新たな記号をハイフンで付け足すのでJ1N1-Fは観測機型ということになる。
またJ1N1-CのCは偵察機、J1N1-RのRは陸上偵察機、J1N1-SのSは夜間戦闘機を示す
ちなみにJ1N1-Saのaは小改造を示す。
なお当初は水上偵察機のみをEとし、艦上偵察機と陸上偵察機はまとめてCだったが、後にCは艦上偵察機のみを指すようになり、陸上偵察機にはRが割り振られた様子。
これによってJ1N1-CはJ1N1-Rに改称される(モノは一緒
※偵察機・観測機の命名例:
九七式艦上偵察機(1937年採用)はC3N
九八式陸偵(1939年採用)はC5M
零式水偵(1940年採用)はE13A
零式観測機(1940年採用)はF1M
彩雲(1944年採用)はC6N
では本題
J1N1-F(初期には単にJ1N1-Rと呼ばれた)は二式陸上偵察機(J1N1-Cまたは-R)の派生型で、長距離偵察の為に自衛火器を強化する計画だったとも、観測機とする計画だったとも、デファイアントやP-61よろしく銃塔夜間戦闘機とする計画だったとも言われ、正直目的ははっきりしない。
先述の通り、もし型番の通りなら観測機となる。
通常の二式陸偵でいう中央の座席を潰した上で、大きな銃塔を備えているのが最大の特徴。
銃塔は二式飛行艇や一式陸攻から流用されたものや深山の開発中止で余剰となったもの、新規設計のものなど様々な形式の銃塔を搭載した機体が試作されたという。
写真の機体の銃塔の武装は九九式二十粍機銃の一号銃であるとする説が主流なのだが、銃塔同様に連装の二式十三粍旋回機銃(謂わばMG131Zの日本版)や九九式二号銃など様々な機銃が試験されたので確証はない。
開発計画の開始は1943年で、全ての機体が二式陸偵からの改造で作られた。
製造数も諸説あり、airwar.ruでは多くとも四機、arawasi-wildeagles.blogspot.comなどでは少なくとも1ダースと意見が分かれる。
加えて一度陸偵から改造した機体を再度改造した可能性も否定できない。
結局この設計は飛行特性の悪化がかなり深刻で、そこに戦況の変化も合わさり量産に至ることはなかったという。
その後、J1N1自体は塩漬けにされていた十三試双発陸上戦闘機に斜銃を搭載した試験をキッカケに夜間戦闘機 月光として発展していくのはまた別のお話。
・諸元(J1N1-F)※脚注:一部はJ1N1-Rのデータから流用したと思われる
初飛行:1941年
乗員:3名
空虚重量:4700 kg
全備重量:6800 kg
最大離陸重量:8164 kg
翼幅:16.98 m
全長:12.177 m
全高:4.7 m
翼面積:40 m^2
翼面荷重:170 kg/m^2
発動機:中島NK1F栄二一型 空冷星型エンジン(離昇1130馬力)
燃料搭載量:2270 L
最高速度:507 km/h @高度5000 m
巡航速度:333 km/h @高度4000 m
上昇力:高度5000 mまで9.6分
実用上限高度:9320 m
航続距離:2545 km
最大航続距離:3750 km
・参考/画像
http://arawasi-wildeagles.blogspot.com/2014/04/nakajima-j1n1-f-gekko.html
http://www.airwar.ru/enc/fww2/j1n.html
https://www.valka.cz/Nakadzima-J1N1-R-t29410
https://www.secretprojects.co.uk/threads/nakajima-j1n-gekko-prototypes-and-projects.22532/#lg=thread-22532&slide=0
軍用機の命名規則はhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%8D%E7%94%A8%E6%A9%9F%E3%81%AE%E5%91%BD%E5%90%8D%E8%A6%8F%E5%89%87_(%E6%97%A5%E6%9C%AC) より
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