ポリマーチップ弾

弾薬

やってるゲームに出てきた「ポリマーチップ弾」がよくわからなかったので調べてみた。
簡単に言うと、ホローポイント弾の先端に合成ポリマー製のノーズコーン(=ポリマーチップ)を取り付けたものらしい

ライフル用ホローポイント弾(左)とポリマーチップ弾(右)

英語圏ではプラスチック・チップ弾”Plastic-tipped bullet”とも呼ばれるようで、弾道特性が重要視されるライフル弾で主に用いられる。
というのも通常のホローポイント弾は先端が窪んだ形状であるため、流線型(いわゆる「スピッツァー形状」)の弾薬と較べて空気抵抗の影響が大きいのだ。
そこで先端にポリマーチップを取り付け、流線型の弾薬と同等の空気抵抗を持たせたのがポリマーチップ弾である。
空気抵抗の改善は終端速度の向上も意味するため、結果的に貫通力は通常のホローポイント弾やソフトポイント弾よりも高くなっている。
なおポリマーチップが命中と同時に変形しつつ金属部に食い込む形になるため、マッシュルーミングは阻害されない(メーカーによってはむしろ効率よくマッシュルーミングする)らしい。

Hornady社製ポリマーチップ弾を撃ち込んだ弾道ゼラチン。

また半自動火器においては、ホローポイント弾に特有の先端形状に由来する給弾不良を防ぐ効果もあるという。
更にチューブマガジンの形状故に先端の尖った弾薬が使えないレバーアクションライフルであっても、ポリマーチップ弾ならば安全に使用できるとのこと。
今までチューブマガジンに先端の尖った弾薬を装填すると危険だった理由は、弾薬の先端が前方の弾薬の雷管を作動させてしまう可能性があるためなのだが、ポリマーチップ弾であれば先端が柔らかいので、その危険は十分低いのだとか。

チューブマガジンのわかりやすい例(スペンサー銃)

と、ここまでポリマーチップ弾のメリットばかりを挙げてきたが、これは決してホローポイント弾の完全上位互換であることを意味しない。
というのも当然通常のホローポイント弾よりコストが嵩む上、改善される弾道特性はそこまで劇的ではないためだ。
性能の向上がコストに見合ったものであるかは用途次第なので、状況に応じて適切な弾薬を使うのが一番と言えるだろう。
結局のところ、完璧に万能な弾薬は存在しないのである。

・参考文献、画像引用元(一部)
https://www.ammoforsale.com/ammo-club/polymer-tipped-ammo/
https://en.wikipedia.org/wiki/Plastic-tipped_bullet
https://www.nosler.com/products/bullets/product-line/ballistic-tipr-hunting.html

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