かのマドセン軽機関銃(1902年製)の源流となったデンマークの自動小銃。
一見レバーアクションライフルに見えるが、リコイルオペレーション(反動利用)式自動装填機構を採用している。
反動利用式自動装填機構を持つ歩兵銃としては最古の部類のはず…なんせ計画の開始が1883年なので。
この銃はマドセンとラスムッセンという二人のデンマーク人が開発したもので、黒色火薬を使用する8mm口径の弾薬を使用する。
黒色火薬特有の煤で機関部を汚し、しかも後の無煙火薬より反動が小さいという反動利用方式に向かない性質に苦戦しつつも、どうにか1887年には実用レベルの銃が完成したらしい。
そしてM.1888自動小銃(Forsøgsrekylgevær)の名称が与えられた上で、50丁がデンマーク軍の試験に供されたものの、野戦を行う歩兵が使用するには向かないと判断された。
というのも給弾を重力に頼っており、射撃姿勢によっては給弾不良が起こる特性があったのである。
また銃剣は反動利用方式と相性が悪く、重すぎると故障の原因となることもあったので、小さくて軽い銃剣しか使えなかったことも欠点といえるかもしれない。
結局M.1888は比較的クリーンな環境で使用できる要塞の兵士用に採用が検討された程度で、歩兵銃としてはボルトアクション式のクラッグ・ヨルゲンセン・ライフル(ノルウェー製)が採用されることとなった。
一方、開発者の二人は改良を続け、給弾クリップをマガジンに置き換えるなどの改良を施したM1896海兵銃(Flaadens rekylgevær)を開発する。
これは再びデンマーク軍によって試験され、結果として沿岸要塞の防衛用に合計60丁のライフルが購入され、納入された。
しかしこれらの銃は使われること無く、1932年まで保管されるにとどまった。
またこれを受けM1896の輸出販売の可能性に目を付けた企業が特許を買い取り、アメリカなどに売り込もうとしたものの、結局大規模なセールスに成功することはなかった。
とはいえこれらの銃の開発はマドセン軽機関銃の開発へのつながるため、別に失敗とか無駄になったとかではないはず。多分…
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