Canal Defense Light(CDL)

M3 Grant CDL

第二次世界大戦中のイギリスで作られた「秘密兵器(secret weapon)」の一つ
既存の戦車を改造し、夜戦支援の為の強力な探照灯塔を砲塔の代わりに搭載したもの
目立つ上に通常機銃掃射で沈黙するレベルのソフトスキン目標となりがちな移動式探照灯に防御力が備わり実際有用だったらしい
“Canal Defense Light(CDL)”は「運河防衛ライト」という意味だが、これは本来の目的を秘匿する為の欺瞞名称
製造、訓練、運用のいずれもトップシークレットだったらしい
M3グラントやマチルダIIをベースに製造された
チャーチル戦車版も作られたという噂があるが、写真などは残っていない
これ以前にもMk.V戦車に探照灯を搭載するなど似た計画はあったものの、どれも上手くいかなかったらしい

前方を照らすGrant CDL

グラントCDLは通常の砲塔の代わりに探照灯を内蔵し、スリット状の照射孔を持ち360度旋回可能な探照灯塔が搭載された
この探照灯は炭素アーク灯で、1,280万カンデラの光を1000ヤード(約910m)先で約34×340ヤード(約31m×311m)の範囲に照射することができた
なんでも青とアンバーのフィルターを通す事で、光をほぼ白色にしているらしい
探照灯塔の前面にはダミーの砲身と機関銃があり、一見しただけでは通常の戦車型と区別し辛いように工夫されている
一方車体の75mm砲は戦車型同様に実砲が装備されているので、戦闘能力が無いわけではないらしい
この車輌はアメリカでも”T10 Shop Tractor”の欺瞞名称で製造、運用された
“Shop Tractor”を訳すとしたらなんだろう?「移動販売トラクター」的な…?
こちらでは探照灯塔にも”coast defense turrets”(沿岸防衛砲塔)の秘匿名称が与えられたらしい
というかイギリス向けの探照灯塔の多くもアメリカで作られた

Matilda CDL
Copyright: ©The Tank Museum, Bovington
Original Source:
https://tankmuseum.org/museum-online/vehicles/object-e1949-353

マチルダCDLはグラントCDLの前に作られた車輌で、マチルダIIの砲塔を探照灯塔に置き換えたもの
探照灯のスペックは変わらないので割愛
こちらはグラントCDLと違って武装が7.92mmベサ機銃のみとなって戦闘能力が大幅に損なわれたり、基本性能もグラントの方が優れるのであまり好まれなかった

探照灯塔の図面

戦歴として有名なものはレマゲン鉄橋での防衛任務が挙げられる
そこでは夜間に潜入を試みたフロッグマンを照らし出して見つけたという
橋のような固定目標を防衛する用途では、次第にドイツ軍から鹵獲した探照灯に置き換えられていった
米軍は沖縄戦でもCDLを使う為に要求を出したが、到着する頃には沖縄戦は終結していた

シャーマン CDL
スリットが2つになっているのが特徴
Copyright: © IWM. Original Source: http://www.iwm.org.uk/collections/item/object/205070699

朝鮮戦争中にシャーマン車体(一説にはT52 MGMCの流用)を使ってCDLを復活させる計画も立ち上がったが、1輌作るコストが四個大隊に探照灯を配備できるレベルだったので中止

展示されるGrant CDL

一部の車輌は1945年にインドに送られ、うちグラントCDLの1輌がインドのアフマドナガル機甲戦車博物館(Cavalry Tank Museum, Ahmednagar)に展示されている
一方マチルダCDLはボービントン戦車博物館に展示されている(先程の写真がそれ

参考文献の記述が豊富なので、英語強いマンは是非読んでほしい
そして補足とかしてほしい(

・参考、画像
https://en.wikipedia.org/wiki/Canal_Defence_Light
https://ja.wikipedia.org/wiki/M3%E4%B8%AD%E6%88%A6%E8%BB%8A
https://tankmuseum.org/museum-online/vehicles/object-e1949-353
https://en.wikipedia.org/wiki/Matilda_II
http://www.tanks-encyclopedia.com/canal-defence-light-cdl-tanks/