よくPanzerknacker(対戦車ハサミ)と呼ばれるが、knacheは「カチカチ」といった擬音を示すものらしいので、意味的にはPanzerknacke(対戦車カチカチ)らしい

ナチス・ドイツの諜報機関「ツェッペリン」の工作員が使用した、手のひらサイズの暗殺用ロケットランチャー。
この機関は1942年に設立されたとされ、政治諜報活動や破壊工作、テロ活動によってソ連国内に分離主義運動を引き起こすことを目的としていた。
機関の最重要任務は他でもないソ連元首ヨシフ・スターリンの暗殺で、ソ連の対独協力者を訓練してパンツァークナッケの他に万年筆型拳銃や無線制御式吸着地雷を装備していたという。
これほどの重武装が必要とされた理由は、スターリンは枢軸各国による以前の暗殺計画が失敗して以来、装甲化された乗用車で移動するようになっていたことによる。

エージェントとして白羽の矢が立ったのは、タヴリンの偽名でソ連軍に所属していたピョートル・イワノビッチ・シロという人物だった。
彼が偽名で活動していた理由は諸説あり定かではないが、ソ連諜報部に偽名であることがバレそうになり、ドイツ軍に投降して捕虜になったという。
また彼は何らかの反ソビエト組織のメンバーであったとされ、捕虜収容所での尋問ではドイツへの協力を公然と表明し、一年かけて工作員としての訓練を受けている。
そして彼は偽造した文書と勲章でソ連高官になりすまし、手術で戦傷を受けたように偽装してクレムリンの式典に参加することとなった。
計画では式典で拳銃を使って毒性の弾薬を発射しスターリンを殺害するか、それが不可能な場合にはスターリンが乗った車をパンツァークナッケで破壊する予定だった。
このパンツァークナッケは口径3cmのロケット擲弾を発射可能なランチャーで、300メートル先から40mm厚の装甲板を貫通できる徹甲焼夷弾を使用した。これを装備するために彼の偽造制服は右袖が左袖より数センチ広く作られていたという。

しかし1944年9月、四発のアラドAr232でソ連国内に侵入したタヴリンは作戦を実行する前に逮捕されてしまい、当局による尋問を受けることとなった。この際のエピソードは信頼できる資料が少ない上に諸説あるため、割愛させていただく。最終的にタヴリンは反逆罪及びソ連政権に対するテロ行為の罪で起訴され、有罪となって1952年に銃殺されている。
なおこの事件についてソビエトロシアでは数多くのドキュメンタリーが制作されたらしいので、興味があれば調べてみてほしい

・参考


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