M1カービンをベースに作られたPDW的なナニカ。
設計思想は正しくとも安上がりに作ろうとすると失敗する例
これは1943年にアメリカのアメリカの銃器設計者であるジョージ・F・グリービーが開発した銃で、現在のPDWに近い性質を持っていた。
グリービー氏はウィンチェスター社に在籍しており、以前M1カービンの開発に関わっていた。
戦中の開発だったこともあり短期間での開発が望まれ、その結果M1カービンから機関部を取り出してグリップを取っ付けたような銃が完成した。
故にマガジンはM1カービンの15発用、30発用を共に使用できた。
ただしボルトハンドルは左側に移され、右手で銃を保持したまま左手で動かせるようになっている。
ベースとなったM1カービンの重量から、この銃の重量は1.5kgほどと考えられており、レイアウトに由来する重心の位置からも保持は困難であったと思われる。
またライフル弾としては反動がマイルドな.30カービン弾も拳銃弾と比べれば遥かに強烈で、ストックの無いこの銃では正確な射撃など望むべくもないのは明白だった。
というわけでより安価かつ扱いやすいM3「グリースガン」短機関銃に威力以外で勝るハズもなく、米軍はこのアイデアを受け入れなかった。
要するに安上がりに作ろうと結果、世界的に見ても正しいアイデアを失敗させてしまったようだ。
なおこの銃の試作品は1丁現存しているらしく、設計者の子孫からオークションを通じて個人のコレクターに売られたことがわかっている。
・参考
https://www.icollector.com/Prototype-or-inventors-model-30-caliber-carbine-pistol-marked-Designed-Made-by-George-F-Grebe_i14159164
https://guns.fandom.com/wiki/Grebey_automatic_pistol
https://strangernn.dreamwidth.org/2055936.html
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