別に某プラットフォームのおま国攻撃のことではない。
熱と水、或いはボイラーで作った高圧の蒸気を使って弾を撃ち出す砲のこと
日本語で蒸気砲と呼ばれることもある。
その歴史は古く、かのアルキメデスが発明して紀元前214~212年のシラクサ包囲戦で用いられたとされている。
また1700年ほど後にレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)も”Architonnerre”というスチームカノンの草案を手稿に残している。
これらの理屈は砲に繋げた金属管(熱伝導率の高さから銅を用いるとされた)を加熱し、十分に温まったところで少量の水を注入すると、水が爆発的に蒸発して砲弾を押し出す(撃ち出す)というものらしい。
結局これらは成功せず、その後しばらく忘れられていた。
しかし18世紀に産業革命が起こり、蒸気機関の時代がやってくるとスチームカノンは再び注目されるようになる。
こちらは蒸気機関の供給する蒸気で駆動する機関銃を作ろうという試みがいくつかなされたが、いずれも成功には至らなかった。
この時代のスチームカノン(ガン?)として1826〜29年にかけてロシアの”Karelin”大佐が開発した17.5 mmの砲身を持つ試作銃が、サンクトペテルブルクの博物館に展示されている。
構造としては”green copper”(緑の銅)の砲身を”red copper”(赤の銅)のケーシングで包んだものとのこと(緑青{≒青銅}と銅ってことかしら)。
これは毎分50発の弾丸を撃ち出せる予定だったが、1829年の試験に失敗して開発は中止された。
また1858~1861年には”Winans Steam Gun”と呼ばれるスチームカノンも開発された。
これはアメリカ ボストン在住の”Charles Dickinson”氏が発明した遠心銃で、南北戦争中にアメリカ連合国側で試験された。
Charles氏が作ったのに”Winans”氏の名前が付いているのは、長らく後者の発明と勘違いされていたためとのこと。
遠心銃とは遠心力を用いて砲弾を撃ち出す(投射する)銃砲のことで、この銃では蒸気機関を遠心力を生み出す動力とする予定だった。
しかし遠心銃自体の不安定な弾道に加え、必要な遠心力に対して蒸気機関が非力だった為に失敗に終わった。
おそらく唯一の成功したと言えるスチームカノンは第二次世界大戦中のホールマン投射機であろう。
これはホールマン社が開発した対空迫撃砲で、圧縮空気または艦船のボイラーが生み出す高圧蒸気を使って擲弾を撃ち出すガス迫撃砲の一種である。
当然スチームカノンと呼ばれるのは後者である。念のため。
低空で対艦攻撃を行う敵機を迎撃する為に開発されたが、射程の短さなどのために戦果は限られた(二機の撃墜が報告されたらしい。
対空兵器が不足していた1940〜41年に使用されたが、通常の対空砲が配備出来るようになると徐々に置き換えられていった。
・参考
Wikipedia:ホールマン投射機(日/英)
Wikipedia:Steam cannon(英)
Wikipedia:Centrifugal gun(英)
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