レザーカノン(Leather cannon)

陸用火砲


レーザー(LASER)ではなくレザー(Leather)、つまり革製の大砲である。
革製といっても全てが革で出来ているわけではなく、薄い銅製の砲身を鉄製のリングで補強し、その上からロープを巻いて接着材を染み込ませ更に補強、そして外装を革で覆った構造をしている(↓の画像も参考)。

開発は17世紀前半まで遡り、歩兵のマスケットと重い大砲とのギャップを埋める為の軽量で安価な兵器として考案された。
(WWIIでいうと迫撃砲あたりのポジションになるだろうか)
というのも当時あった大砲は鋳鉄製か青銅製で、前者は非常に重く、使用は要塞砲や艦砲に限られてしまった。
それに比べれば青銅製の大砲は軽く、どうにか歩兵の火力支援に使える重量だったものの、やはり素早く陣地転換して歩兵を支援するといったマネはできなかった。
そこで歩兵に追従しつつ火力支援を行なえる兵器として考案されたのが、このレザーカノンというわけらしい。
1620年代に北ヨーロッパで試作・使用されて以降、他国にコピーされつつ1650年代まで広く使用されたのだが、結局のところあまり成功した兵器にはならなかった。
その理由は基本的な構造の欠陥で、ロープやら革やらの断熱素材を巻いたおかげで非常に熱がこもりやすく、数発の射撃で使用不能なほど熱くなってしまうのだ。
また薄い銅製の砲身は、この熱で歪んで精度を大きく落としてしまったという。
それでなくとも薄いせいで強度が足りず、暴発を起こして砲手を殺傷してしまう事があったようだ。
これらの欠点から戦場で使うには厳しいと各国で判断され、この砲自体は歴史の波間に消えることとなった。
しかしたった二人の砲手で運用可能な軽便さと、歩兵に追従できる支援用火器の有用性は確かだった為、後の兵器開発にそれなりの影響を与えることになったらしい。

・2020/1/6追記
どうやら日本の戦国時代にも塵砲(じんぽう)と呼ばれるコードバンを膠で固めた砲身から散弾を放つ和製レザーカノンがあったという噂がある。ただしTVに出てた専門家以外のソースはいまいち見つからないので、よくわからない(諦め

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