AERO X10A 米国製ロケットランチャー

ロケット

別名”Aircraft Rocket Launcher Mark 10 Mod 0”(航空ロケットランチャー マーク10 モデル0)
AD-1 スカイレイダーで試験されたチューブ式試作ロケットランチャー。
マガジンによる給弾が可能にした圧倒的な弾数が特徴。

ロケットをレールマウント式に外部懸下することで起こる気流の乱れや抗力の増加を嫌って開発されたらしい。
技術的には既に開発されていたマーク8をベースにしており、噴射炎を下方に逃す構造がある。
(マーク8についてはそのうち…)

・画像:噴射炎を下方に逃がす様子

使用するのは先に開発されていた口径127mm(5インチ)の旋動安定式ロケット。
ちなみに翼安定式のロケットがフィンで姿勢を安定させる(fin stabilized)のに対し、銃弾などと同様に回転することで飛行を安定させる(spin stabilized)のが旋動安定式。
再装填しやすいほか、翼安定式より横風に強いといった特徴がある。
このロケットの開発までの話は長くなるのでまたの機会に(英語に自信ニキは↓のリンクをどうぞ。
http://www.designation-systems.net/dusrm/app4/5in-hvsr.html

・画像:構造の模式図

重量は一つあたり10kgで、HVARの6分の一。
さらに発射器は73kgと比較的軽量。
装填は動力式(おそらく電動)で、左右のマガジンから交互に給弾される。
構造については画像見てくれた方が早いかなって(
これ本来は胴体に発射器、翼内にマガジンを配置する設計らしいのだが、スカイレイダーはスカイレイダーなので主翼に積んでしまった。
両翼に19発ずつ計38発の弾薬を装填でき、これを毎秒3発のレートで撃ち出す(6秒弱で撃ち切る)とする資料と、20発ずつ計40発装填できて0.2秒に一発のレートで撃ち出す(8秒で撃ち切る)とする資料がある。
写真にある弾数が38発なので前者の方が有力かも。
あるいはチューブに最初の一発を装填するか否かの違いの可能性も?

・画像:諸元表(http://archive.hnsa.org/doc/launchers/cat-0075.htm)

カリフォルニア州で行なわれた試験結果は良好で、HVARに劣らない精度と圧倒的な装弾数が評価された。
しかし弾体の小ささに由来する発射薬の少なさが原因で、射程がHVAR(最大5km程度)より遥かに短かい(0.8〜1km)という欠点が発覚。
これでは敵に接近する必要があり危険と判断され、結局1950年夏までに開発は中止された。
まぁ誘爆したら酷いことになりそうだし、弾倉が大きい分被弾率も高そうだもんね…
その後航空ロケットの主流は蜂の巣めいたランチャーとなるのであった。

ちなみに搭載時に翼内機関砲を撤去する必要があるとする資料があるけど、写真見る限り付いてるっぽくてちょっとよくわからないですね…
(撤去必須or搭載弾数減少の場合、当然それも欠点に…)

個人的には斉射が不可能な点や翼内を重量物が移動することによる飛行への悪影響なんかも地味な欠点になりそうに思ったけど、その辺を言及してる資料はなさそう。


・参考/画像
https://topwar.ru/34577-orudie-puskovaya-ustanovka-aero-x10a-dlya-shturmovika-douglas-ad-skyraider.html
https://topwar.ru/14044-v-pogone-za-moschyu-prototip-skyraider-s-aktivno-reaktivnymi-snaryadami-aero-x10a.html
https://sobchak.wordpress.com/2009/11/29/news-sul-lanciarazzi-interno-del-skyraider/
http://www.dogswar.ru/voennaia-aviaciia/samolety/5506-shtyrmovik-ad-1-skyr.html
http://archive.hnsa.org/doc/launchers/index.htm#toc
それとえすだぶさんのツイート
https://togetter.com/li/757145

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