28mm対空機関砲 シカゴピアノ

対空砲

アズレン流行ってるしハマっちゃったので登場する艦載対空砲の紹介でもしてみる。

大戦期の米軍艦船に搭載された機関砲、制式名称は1.1″/75 caliber gun(75口径1.1インチ砲)。
通称の「シカゴピアノ」は発砲音ではなく大きさと形状に由来する説が有力らしい(詳細は不明。
1930年代前半に艦載対空兵器としては威力も射程も不足とされたブローニングM2を代替するべく開発され、1938〜1942年に掛けて1000基近く製造された。
ついでに5インチ砲と機関銃の射程の穴を埋める目的もあったらしいが、流石にそれには小口径すぎた。
開発を急いだ結果精度と信頼性が確保されないまま量産が開始され、それがこの兵器の運命を決定づけることになった。
構造としては直径28mm、全長3m、銃身長2mの水冷式機関砲で、先端にはフラッシュサプレッサーが取り付け可能。
装填はクリップ式で、一門あたり二つの装填口があるので片方で撃ちながらもう片方を再装填することができた。
弾薬は曳光榴弾(HE-T)及び同自己破壊弾(HE-T/SD)。
※自己破壊(Self-destroying)弾は一定距離飛翔すると自壊する弾薬で、敵に(必要以上の)弾道を知らせないようにする効果がある
rpmは150、銃口初速は820m/s、最大射程は6.4km。

基本的に全周旋回銃架に四連装で搭載され、最大俯仰角は-5〜110°だった。
仰角がやたら大きいのは上空を通過する水平爆撃機も狙うつもりだったからだそうな。
操砲手は1基あたり15人。

よくジャムるので兵士にはかなり不評だった。
その頻度はレンチとハンマーが銃架に常備される程だったとか。
もっともこの機関砲最大の欠点は重く嵩張る銃架及び旋回装置だったりする。
なんせ水冷式なのでそもそも本体からして重い(銃尾なしで252kg)。
それを照準と装填の都合で横一列に配置したもんだから当然銃架は嵩張る。
その結果、連装のボフォース40mm機関砲(水冷)とほぼ同重量となり、単装のエリコン20mm機関砲(空冷)なら6基積めるレベルの重さになった。

・画像:連装ボフォース40mm機関砲のMarkV砲架

・比較
コイツのMark2銃架…4763kg
連装ボフォース砲架(Mark1)…4445〜5897kg
単装エリコン銃架(Mark2)…769kg
ちなみに四連装ボフォース砲架(Mark2)は約10t

というわけで重量やスペースあたりの性能に勝るエリコン機関砲や、近い重量・サイズでより高性能なボフォース機関砲に「可能な限り迅速に」置き換えられることとなった。
置き換えが終戦に間に合わなかったものも1945年中には全てスクラップの憂き目に遭っているあたりが色々物語っている。
銃架の方は一部がボフォース機関砲を新たな相棒とする事で生き延びたらしい。

・参考/画像
http://www.navweaps.com/Weapons/WNUS_1-1-75_mk1.php
それとwikipedia日・英語版(↓)
https://ja.wikipedia.org/wiki/28mm%E5%AF%BE%E7%A9%BA%E6%A9%9F%E9%8A%83
https://en.wikipedia.org/wiki/1.1%22/75_caliber_gun

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